不確実な時代において中国情報は興味深いだけでなく仕事や生活上の安全予測に役立てられる─。

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台湾に何が起きているのか」や「ウイグル人という罪」などの著書を執筆する分筆家でジャーナリストの福島香織さん。
フーミーでは2019年2月に「福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップス)」を創刊され積極的に情報発信をいただいています。そんな福島香織さんに、ウェブマガジン執筆にあたって大切にしていることなどをお聞きしました。

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──ウェブマガジンを配信しようと思われたきっかけを教えてください。

foomii社の鈴木さんに繰り返し誘われたことがきっかけです。また、同業の方にもメルマガをやっている人が結構いて、やるべきだと言われていました。

──TwitterなどSNSを活用されていますが、福島さんの中でウェブマガジンによる情報発信はどのような位置づけでしょうか?

ツイッターやフェイスブックはほとんど閲覧専門です。ニュースに対して、みんなどのような反応をしているのか、参考にしています。なので、私自身の記事についても、どのような反応があるか、エゴサしたりします。こういう情報を知りたいのか、こういう受け止め方なのか、ということを参考にしています。なので、あまり発信に重きをおいていません。発信しても雑多な情報にまぎれて、正確に届かないかな、という気がしています。
私の正式な発信は、原稿料をきちんといただいて依頼をうけて媒体に書くものです。編集、プロデューサーという第三者の吟味、評価も加わって、信頼度を高めて発信したものが正式な情報発信です。
ウェブマガジンは、SNSと媒体原稿の間にあるものと位置付けています。第三者の吟味、校正は入っていないけれど、自分が依頼原稿を書くために参考にしている生情報や生ニュース、資料の整理や翻訳、それについての自分の見立て、自分以外の有識者の考えなどを書きます。一つの原稿としてまとまっていない分、番組や原稿で省略される、出典や日本語としてはちょっとおかしい、原文直訳表現を残しておこうとおもって、書いています。
よく、テレビ、雑誌などのメディア関係者から内幕や見方を電話で聞きにきたり、リサーチを依頼されたりすることがあるんですが、そういうのが集中すると結構時間がとられて、しかも原稿化、番組化されないと時間だけとられてペイが発生しない。なので、そういうメディア関係者の方に役にたちそうなもの、という意識もあります。自分が新聞記者で一日何本もちぎっては投げして原稿を書かなければならないとき、こういうメルマガがあったら参考になるな、と思えるものを書いて発信しています。

──今、一番気になっているのはどのようなテーマでしょうか?

習近平独裁の行方はもちろんですが、それにともない世界のフレームワークの変化を見極めたいと思っています。あと、中国共産党の終焉には現場にいこう、と。

──日々、記事を配信される中で気をつけていること、大切にしていることはどんなところでしょうか?

最初は一週間に一回のつもりで始めたのですが、短くてもいいので毎日発行した方がいい、と周囲から言われて今は、少なくとも一週間に5回は出そうと思っています。少なくとも平日毎日更新という約束を守ろうと気を付けようとおもっていますが…。
あと、人の批判、こき下ろしはいわないようにしています。批判をいったりこき下ろしたりするのは、中国の政治家などの公人のみ。それは単純なこきおろしではなく、政治批判、政治分析であります。

──ウェブマガジンを配信されてよかったことはありますか?

新著を出すと、読者プレゼントを行っているんですが、わりと応募があって、私の本を欲しがって、楽しみにしてくれている方がこんなにいるのだと、思うとは励みになります。
あと純粋に、ひとつのまとまった収入になっているので助かります。ジャーナリズムの仕事は基本、出費がやたら多く、中には積荷おろしなどの肉体労働をして取材費をかせいで本業を支えている人もいます。私が、厳しい肉体労働をせずに、取材費が賄えているのは、メルマガのおかげです。読者の皆さんが支えてくださるおかげで、取材できるのです。

──今後、どのような展開を考えてらっしゃいますか?

YouTubeなどの動画とリンクできるといいなと思っています。まだYouTubeに回せる余力はできていませんが、いつかは。

──どういった方にウェブマガジンを読んでもらいたいですか?

もともと、私自身が自分が記事を書く時、本当にきょうは何を書こうか、何を取材しようか、何を切り口にしようか悩むことが多かったので、そういう人が、ほう、これは面白い、と参考になればいいと、思って書いています。
同時に、中国のことに関心を持っているけど、中国語読めない、という方が、中国語で、事件、出来事がどう報じられているか、中国人や外国にいる華人はどう受け止めているかを知っていただくのに役立ちたい。中国に行ったこともないし、中国人の友人知人もいないし、中国語も話せないし、聞けないし、読めないのに中国を語る人も実在するようです。そういう方は、自分の頭の中の中国のイメージや、英米の報道を通していた中国情報を語るわけです。意外にそういう人たちの声の方が広く届いたりします。
逆に中国で長く働いた経験があり、中国語も話せて聞けて読めて、中国での人間関係があると、そういう人たちからスパイ呼ばわりされてしまう。
しかし、やはり中国をまったく知らない人の頭の中の中国分析の方が正しいという道理はないと思うのです。たとえば、中国をある程度知る人が、米国をある程度知る人と情報交換して議論を戦わせて得た認識の中に、米中関係の見立てと言うものが、少し見えてくる、そんなものです。
いろんな意見や見方を知るなかで、中国の生情報に近いところを汲んだ拙メルマガをぜひ選択肢に入れていただきたいですね。

──最後に読者さんに向けてメッセージをお願いします。

中国の変化は国際社会の変化にリンクします。これからくるであろう不確実な時代は、中国が要因であることが多い。中国情報は、たんに興味深いだけでなく、仕事や生活上の安全予測に役立ち、一種のライフハックになると思います。ご期待に添えるような情報発信ができるよう、がんばります。
メルマガで得た収益は、取材費用の一部に使わせていただいています。取材旅行費や取材謝礼、海外のストリンガー代、カメラマン代、ときに通訳、ガイド費用。亡命者を支援したり、ニュースソースを安全に出国させるための費用などもあります。
メルマガ購読によって、そうしたジャーナリズム活動を支えていただいていること、感謝申し上げます。

──ありがとうございました。

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福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップス)

中国の政治・経済から街角の流行まで”中国の今”を現地報道と現地ソースからピックアップして解説します。

価格:880円/月(税込)
発行:平日毎日+週末1回(取材等の都合により配信できない日はご容赦ください)

福島香織

1967年、奈良市生まれ。
大阪大学文学部卒後、産経新聞入社。上海復旦大学に業務留学後、香港支局長、中国総局(北京)駐在記者、政治部記者などを経て2009年に退社。以降はフリージャーナリストとして月刊誌、週刊誌に寄稿、ラジオ、テレビでのコメンテーターも務める。

主な著書に「中国の女」(文春文庫)「新型コロナ、香港、台湾、世界は習近平を許さない」(ワニブックス)「習近平の敗北 - 紅い帝国・中国の危機」(ワニブックス)「米中の危険なゲームが始まった」(ビジネス社)「ウイグル人に何が起きているのか」(PHP新書)など多数。

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