一般のメディアが伝えない真実や事実、それらの背後にある情報を、最大限正確に伝えることを目指しています。

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知られざる真実―勾留地にて―」や「日本経済の黒い霧」などの多数の著書を執筆する政治経済学者の植草一秀さん。

2011年9月から配信を開始した「メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」」では、大手メディアの伝えない日本の政治経済分野の最新ニュースを独自の視点で解説、情報発信されています。そんな植草一秀さんに、メルマガを配信する上で大切にしていることなどをお聞きしました。

『メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」』の詳細はこちら

──ウェブマガジンを配信しようと思われたきっかけを教えてください。

私は2008年4月にブログ「植草一秀の『知られざる真実』」を立ち上げました。刑事事件に巻き込まれ、一方的な情報操作で被害を蒙ってきたなかでしたが、ブログを立ち上げることのよって日本政治を刷新する必要性を一貫して訴えてきました。マスメディアの情報統制力が一段と強まるなかではありましたが、インターネット通信の発達から個人でも広く情報発信するツールがあることを知り、情報統制に風穴を開けようとしたのです。
1993年に細川内閣が創設された時点から、日本政治刷新の必要性を痛感し続けてきました。本業は経済金融の研究なのですが、それ以前に一市民として日本政治に強い関心を持ち続けてきました。その問題意識から政治との関わりを強く持ち続けてきました。
その後、私の政治主張とも関係があると思いますが、重大な冤罪事件に巻き込まれることになりました。すべての事件が無実潔白であることは当事者の自分自身が誰よりも知っています。しかし、現実は真実が勝利するという単純なものではありません。真実を明らかにするための再審請求の闘いはいまも続けています。
このような事情もあるなかで、日本政治刷新を実現するための微力な試みとしてブログでの情報発信を始めたのです。何よりも大きな問題は人々が真実の情報を獲得できていないという現実でした。たった一人の情報発信に限界があることは十分に認識していますが、希望を棄てれば理想が実現する道は閉ざされます。微力ではあることを承知の上で情報発信を開始したのです。
その後、foomiiの鈴木社長から熱心なお誘いを受けてウェブマガジンの発信を始めることにしました。ただ、広く世の中の人に真実の情報を知ってほしいとの思いからブログを始めた経緯がありますので、課金しないブログ発信を継続するなかで、ブログでの公開記事を前半部分として、より掘り下げた考察を後半部分にして発信するウェブマガジンの形態で情報発信を新たに始めることにいたしました。
ウェブマガジン創刊号は2011年9月ですので創刊から丸12年の年月が経過したことになります。発行号数は3500号を超えました。時間の重みを痛感している次第です。

──X(旧Twitter)を活用されていますが、植草さんの中でウェブマガジンによる情報発信はどのような位置づけでしょうか?

X(旧Twitter)での情報発信は付随的なもので、情報発信の中心はブログとウェブマガジンにあります。Xではブログ記事、ウェブマガジンの更新情報を発信しています。ブログ、メルマガを読んでくださっている方がXで記事を箇条書きにして情報発信くださっているので、そのXでの発信をリポスト(リツイート)させていただいています。
多種多様な情報が多種多様な媒体で発信されている世の中ですので、人々は取捨選択して情報を入手することになります。YouTubeやXでの情報発信が主流になっていることを感じますが、ものごとの本質を正確に伝えるには文字媒体が優れていると考えています。文字媒体であれば、よく知りたい部分を繰り返し読むことができます。また、複雑な事実について、詳細を正確に伝えることもできます。YouTubeの場合は話し手の生の言葉を聞くことができ、同時に話し手の表情や感情も伝わるので意義が大きいことは分かります。またXは短い文章で瞬時に、かつ頻繁に情報を伝えることができるので、やはり意義が大きいなと感じますが、一人で何もかも対応することは難しいので、現時点ではブログとメルマガでの情報発信に軸足を置いているということです。
読者の方も1日は24時間で時間がとても制約されていると思いますので、長い文章を読んでいただくのはとても恐縮に思うのですが、一定のまとまった文章によって、世の中で生じているさまざまな事象について、どうしても知っておくべき事実の正確な情報を提供したいと思い、現在のスタイルを継続しています。

──今一番気になっているのはどのようなテーマでしょうか?

『知られざる真実』というタイトルは「真実が知られていない」ことを暗示するものです。世の中に情報は氾濫しているのですが、その情報が正しいという保証はありません。私たちが入手する情報はどこからもたらされるものでしょうか。圧倒的に大きな情報源になっているのはマスメディアの情報。テレビ、新聞、雑誌の影響は大きいですね。しかし、最近はインターネットメディアの影響力がどんどん拡大しています。とくに若い人々はマスメディア情報ではなくインターネットメディアから情報を入手する比率が高くなっています。
ただ、インターネットメディアでも時事問題に関しては、まずは大手メディアのニュースポータルサイトに依存することが圧倒的に多いと思います。情報を操作しようとする勢力が仮に存在するとすれば、彼らは当然のことながら、ここに目をつけます。実際に大手ポータルサイトの運営は数社による寡占状態にあり、その運営は限られた大資本の支配下にあります。このために、インターネットメディアのニュースポータルサイトの重要性が非常に高いのですが、私が見る限り、その情報に著しい偏り、あるいは歪みがあるのです。
サイトの利用者は画面に表示される情報から情報入手します。ここに表示されない情報にアクセスすることは基本的に不可能です。サイトの画面は有限の存在で、画面のどの位置に、どの大きさで、どの時間の長さで情報が提供されるかを決定するのは画面の運営者になります。つまり、ニュースポータルサイトの最大の核心は、提供される情報をサイト運営者が自由自在に操作できるという点にあります。
テレビメディアも放送で取り扱うニュースは番組編成者が決定し、どのニュースにどれだけの時間を割くかも、また、そのニュースをどのような言葉で伝えるのかも、番組編成者が決定できます。これらの取り扱いによって情報の受け手の印象は大きく左右されることになります。
前置きがとても長くなってしまいましたが、私たちが入手する情報は「生の情報」ではなく、「人の手によって選別・操作された情報」ということになります。日々さまざまなことがらが発生します。最近の出来事で言っても、ウクライナの戦乱、コロナとワクチン、安倍元首相の暗殺、統一協会問題、岸田内閣の支持率低下、原発稼働、リニア新幹線建設、軍事費増大、ビッグモーター社事件、市川猿之助さん事件、ジャニーズ性暴力事件、木原官房副長官妻元夫変死事件など、枚挙に暇がないほど事象が次々に出現しています。
これらのすべての問題について真実の情報が正確に伝えられていると思えないのです。『知られざる真実』と銘打っているのは、世の中に流布される多種多様な情報の存在を踏まえて、一般の情報媒体が伝えない真実、事実、そしてその背景を可能な限り正確にお伝えしたいと考えることによっています。
一般に流布されている情報が正確ではない、真実ではないことを、多くの人に認識していただき、真実の情報を知ることの大切さ、重要性を知ってほしいと願っています。
また、私の本業である経済金融情勢についても、重要な節目では過不足なく的確な情報提供を実践することを心がけています。

──日々、記事を配信される中で気をつけていること、大切にしていることはどんなところでしょうか?

さまざまなことがらについて私見を提示しているのですが、ものごとの見解は、当然のことながら人によって差異が生じます。あることについての意見は人によって異なりますから、当然のことながら意見の相違、対立も生じます。気をつけているのは、確認された事実と確認されていない事実の違いを明確にすること。そして、見解を提示する場合には、それが私の見解であることを明確に示すことです。
事実と確認されていないことを事実だとしてしまうことは間違いです。『何々が事実だ』と表現するのと「何々は事実であると考える」と表現するのは、字数では大きな差がありませんが、表現としてはまったく異なるものになります。また、あることがらについて「私はこう考える」と表現できますが、私は他の方が「私はこう考える」との主張があることを否定しません。自分に主張があるのと同じように、他の方には他の方の主張があって当然だと考えるからです。
大事なことは、それぞれが自分の主張を堂々と展開することだと思っています。さまざまなものごとについて、事実はどうなのかと見解が分かれることも多いと思います。その際に大切なのは、自分の考えをできるだけ分かりやすく丁寧に説明することです。それでも、確認しきれないことはあります。しかし、確認できないことを確認したとしてしまうのは間違いです。ごまかしなく、真実に謙虚な姿勢を保って意見を主張しないと信用を得ることはできないと思っています。
また、自分と異なる意見を持つ人がいるのは当然で、場合によっては、自分が見落としていることを意見の異なる方が持っていることもあり得ます。このことから、意見が異なる方の見解にも、常に敬意を持って接することが大切だと思っています。

──ウェブマガジンを配信されてよかったことはありますか?

私たちの情報空間は、以前はマスメディアにほぼ完全支配されている状況だった思います。一人の個人の情報発信の手段はとても制約されていました。口コミという手段はあるのですが、これも威力を発揮するのは多数の市民が情報を共有する場合に限られます。マスメディアの情報空間支配力はいまよりもはるかに強かったと思います。
それが、インターネットメディアの発達によって、たった一人でも一定の影響力を発揮し得るパイプが形成されたと思います。この意義はとても大きい。広い情報空間のなかのどこに真実の情報が存在するのか。発掘するのは容易ではないのですが、そのような隠された真実の情報、知られざる真実の情報がインターネット情報空間に発信し得る状況が生まれたことはとても意義深いと思います。
私も微力ではあるのですが、真実の情報発信に力を注いできました。その結果として、多くの読者の方から良い情報を入手できるようになったとのお言葉を頂戴することがあります。私としては、人々がアクセスできていない真実の情報を一人でも多くの人に共有してほしいとの思いで活動を続けていますが、その成果が十分とは言えないまでも現実化していることは良かったと思っています。
このような情報発信にデメリットはあまり感じられません。当然のことながら、意見を異にする方からは批判的な言葉をいただくこともありますが、それは当然のことですので、デメリットとは感じていません。

──プライベートについてお聞かせください。情報発信をされる中でストレスを感じることがおありになると思います。そんなときのストレス解消法を教えていただけますか?

私の場合、1週間に5回以上の情報発信をお約束しています。これまでの12年間、このお約束を守れなかったことは1度もありません。ただ、逆に言うと、このお約束を果たすことが困難な局面もなかったわけではありません。コロナに罹患したこともありましたが、苦しみをこらえてお約束は守りました。お約束を守ることは大変だなと感じたことは何度もあります。
ただ、私には夢があります。米国の黒人市民権獲得運動に生涯を捧げたマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師は『私には夢がある』という演説をしました。『絶望の山に分け入り、希望の石を切り出す』とも述べています。もともと、ブログを創設した目的は、日本政治を刷新することにありました。政治刷新の目的は「戦争と弱肉強食の政治」を『平和と共生の政治』に変えることです。
まだ実現していないのですが、追求するべき大きな価値のあることだと思っています。そのような大きな夢があるので、多少の困難さは克服できるのだなと感じています。

──植草さんが普段の生活で大切にされていることを教えていただけますか?

座右の銘は「上善水の如し」です。中国の思想に関心が深いのですが、そのなかでも老子の思想に共鳴する部分が大きいです。人間は人間社会のなかで生きる存在なので、どうしても目の前の人間社会のひとつひとつのやり取りに一喜一憂してしまう面が強くあります。しかし、人間というのは決して完全な存在でもなく、完璧な存在でもありません。人間が犯してきた過ちは数限りありません。最高裁が判断すると、それが絶対と思ってしまいがちですが、これも権力機関がひとつの判断を示したものに過ぎません。
人間の世の中は矛盾と不条理、理不尽に満ちています。私自身もそのことを痛感させられる出来事に直面してきました。そのことを通じて、人の世のさまざまなやり取り=人事に囚われない大きな判断、大きな価値観が大切だとの心境に至っています。
人の世のさまざまなやり取りを無視することはできませんが、それに囚われずに、のびのびと真理を追求することが大切だと感じています。また、人とのお付き合いにおいては、やはり誠実さと優しさが大切ですね。正しいことは必要ですが、より大切な価値は誠実さと優しさだとおもいます。

──今後、どのような展開を考えてらっしゃいますか?

いままでも、そしてこれからも、真実の情報発信に努めていきたいと思っています。その結果として、人々が自らの選択として『平和と共生の社会』構築を目指すようになればいいと思っています。

──どういった方にウェブマガジンを読んでもらいたいですか?

作家の塩野七生さんが『ルネサンスとは何であったのか』(新潮文庫)で「ルネサンスとは一言で言えば「すべてを疑うこと」」と述べています。暗黒の中世から抜け出す原動力になったのは、人々がすべてを疑い、すべてのことがらを自分の眼で見て、自分の頭で考えることを始めたことにあると指摘されています。
いまの世の中では、自分の判断と思い込んでいることが、実は外から与えられたものであることが少なくありません。私たちが入手する情報の大半が大手のメディアが提供する情報なのです。気付かぬ間にこの種の情報が自分の頭に刷り込まれて、それを自分自身の判断、考えだと錯覚してしまうのです。
ところが、メディアが提供する情報には「情報操作」という「悪だくみ」が潜り込んでいることが多いのです。この可能性があることを知り、一般の情報とは異なる「真実の情報」を探求する人が一人でも多くなることを願っています。
こうした問題意識を持つ人にぜひ読んでいただければ嬉しく思います。しかし、どのような情報がどこに存在するのかを知ること自体がとても難しい状況です。ご縁をいただき、すでにお読みくださっている読者のみなさまには感謝の言葉しかありませんが、できましたら、まだご縁のない周りのみささまにも、こんな情報があるよと一言お声がけしていただければとても嬉しいです。私からもできるだけ多くのみなさまにお声がけしてゆきたいと思います。

──最後に読者さんに向けてメッセージをお願いします。

大変拙い論考を発信させていただくなかで.ご高読を賜っておりますことに深く感謝しております。誠に微力なのですが、誠実さと懸命さをもって今後も情報発信を続けて参る所存ですので、引き続きご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

──ありがとうございました。

『メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」』の詳細はこちら

メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」

マスメディアが流す情報が人為的に操作されたものであることを知る人々が急増している。権力者にとってマスメディアは最重要の人民支配ツールである。メディアを独占し、政府が情報提供を独占するのは絶対主義国家の常である。
日本は自由主義・民主主義の国であると思う市民が圧倒的多数だが、実際には日本でもマスメディア情報は巨大権力によってほぼ完全にコントロールされている。この呪縛を取り除き真実を伝える作業は命懸けのものにならざるを得ないが、真実の情報が津々浦々にまで行き渡ったときに初めて権力の移行=革命が実現する。
政界・官界・経済界・金融界・学界・電波業界のタブーに斬り込み、真実の情報を絶え間なく発信してゆきたいと思う。

価格:550円/月(税込)
発行:毎週5回以上

植草一秀

大蔵省研究官、京都大学助教授、スタンフォード大学フェロー、野村総研チーフエコノミスト、早稲田大学大学院教授などを経て、現在、スリーネーションズリサーチ株式会社代表取締役。
旧長銀の不正入札、小泉竹中政権の売国政策等を厳しく糾弾して、人物破壊工作の標的となり、冤罪で実刑判決を受ける。その後も言論活動を継続し、内外の政治経済社会問題に関する真相・深層を抉り出す論評を発表し続けている。

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コメント

    • 岩根元次郎
    • 2023年 12月 19日

    本当の真実を伝えて下さる先生のブログは有難いです。
    今後もずうっと読み続けますのでよろしくお願いします。
    欧米偏重の自民党政治に轍を下して下さい。

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